 
                        母娘が受け継ぐ伝統の「京寿司」の味
店主 加藤卓世さん
 
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                                    <創業から間もなく百年>「東寿司」の創業は、大正時代が終わろうとしていたころ。初代が独立したのはまだ20歳そこそこのごとだったそうです。それから今日まで、すでに100年近く続いてきました。それでも、店主の加藤卓世さんは、「京都で100年足らずでは、まだまだですよね」と笑っておられます2年前にご主人が他界されてから、店主の幸世さんが店を継いで、娘さんと母娘二人で店を切り盛りされています。末の息子さんが、現在は料理屋で修業中です。「この店を継いでくれるかどうかは本人次第」だと、卓世さんは話しておられますが、やはり期待感がその口ぶりにもうかがえます。 
 「もうちょっとで百年になりますから、それまでは娘と二人で頑張らないと」と話されますが、どうしてどうして、とてもお若く張りがあります。
   
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                                    <伝統の京寿司とは>「お寿司」と聞けば、今ではすぐ「握り寿司」が思い浮かぶ人も多いことでしょう。けれどこの「東寿司」では、開業当時から変わらずに「京寿司」の店として続いています。 
 海が遠いため、新鮮な魚が手に入りにくかった京都では、鮮魚を使う「江戸前握り寿司」とは異なって、「京寿司」が発達してきました。物流が発達して、鮮魚も簡単に手に入るようになった今でも、魚に「ひと手間」かけた「箱寿司」や「鯖寿司」とし、それに「巻き寿司」を加えて、これらをひと皿に盛り付け、お客さまにお出しするのが「京寿司」です。
   
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                                    <箱すしに鱧>「箱寿司」にも京都らしく鱧(はも)を使うのが、「京寿司」の特徴になっています。同じように作られている大阪の「押し寿司」は鰻が用いられます。 
 「箱寿司」とは、木枠に酢飯を置いて、その上に具材となる細かく骨きりされた鱧や、海老、厚焼き玉子などを並べ、上から木型で押して形を整えたものです。木枠から取り出して最後に鱧にタレを塗り、ひと口大のサイズに切り分けてお客さまにお出しします。
 握り寿司が、江戸時代にファスト・フードとして、その場でネタを酢飯に乗せ、握って出したのと比べると、「京寿司」は手間ひまのかかった、見た目も彩り鮮やかな仕上がりのお寿司になっています。
 このように「京寿司」は、握り寿司とは異なったお寿司です。そして、この伝統の京寿司を専門にするお店も、今では少なくなってしまいました。
 それで「東寿司」でも、最近は箱寿司や巻き寿司に、握り寿司も少し添えた「盛合せ」をご注文をされるお客さまが多くなっています。
 それとともに忘れてはいけないのが、冬場に、ちらし寿司を丼に入れて蒸し上げた、京都ならではの「蒸し寿司」があります。熱々に蒸し上がったちらし寿司に、海老や錦糸玉子をトッピングすれば完成です。酢飯が蒸されることで、味がまろやかになって一層風味が増します。
 
   
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                                    <これからも伝統の味を守って>最近は、外国人のお客さまが食べに来られることも多くなりました。それで「東寿司」でも、寿司の同業組合が作成した英語・中国語のメニューも用意されています。これも、外国人観光客の急増を物語っているようです。 
 「東寿司」では、お店に来られた外国人のお客さまに、かわいいメッセージカードをお渡しして、そこに好きなことを書いてもらい、メニューの後ろのページに貼り付けています。後から来られた外国人のお客さまが、それを見つけて楽しく読んでおられるそうです。このアイデアも母と娘の経営だからこそ、と思わせるやさしい心遣いです。
 「東寿司」の店内はカウンターとテーブル席で10席ほどですが、店内で召し上がるお客さまだけでなく、実はお持ち帰り用に「折詰め」をお求めになる方も多いそうです。また、慶事・仏事といった席への出前や、ご近所の寺院からも、折詰めの注文が舞い込んで、配達をすることも多いということです。
 現在では寿司屋と言っても、握り寿司だけでなく、メニューにはそれこそラーメンからスィーツまで“何でもあり゛という、大手の回転寿司チェーンが多くなりましたが、昔ながらの味を守っているこの「東寿司」で、「京寿司」を一度お召し上がりになればいかがでしょう。
 きっと懐かしさとともに、こんなお寿司を食べるのも良いものだなあ、とホッコリとした気持ちになれると思いますよ。
 【佐々木 雅一】
 
   
                                 お店詳細情報
                                お店詳細情報
                            
                            | 店舗名 | 東寿司 | 
|---|---|
| 住所 | 京都市上京区千本通下立売上る田中町414 | 
| 営業時間 | 11:00~19:00 (14:00~16:00 中休み) | 
| 電話番号 | 075-841-5756 | 
| 定休日 | |
| 料金 | ランチ:950円~ 夜:1300円~ (税別) ※昼も夜と同じメニューが選べます | 
| 座席数 | 18席 (テーブル12席 カウンター6席) | 
| 駐車場 | なし ※近隣のコインパーキングをご利用下さい | 
| URL | http://kyoto-sushi.jp/member/aduma.html | 
| その他 | 
| 店舗名 | 東寿司 | 料金 | ランチ:950円~ 夜:1300円~ (税別) ※昼も夜と同じメニューが選べます | 
|---|---|---|---|
| 住所 | 京都市上京区千本通下立売上る田中町414 | 座席数 | 18席 (テーブル12席 カウンター6席) | 
| 営業時間 | 11:00~19:00 (14:00~16:00 中休み) | 駐車場 | なし ※近隣のコインパーキングをご利用下さい | 
| 電話番号 | 075-841-5756 | URL | http://kyoto-sushi.jp/member/aduma.html | 
| 定休日 | その他 | 


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